<2> 占われた一日・午前

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 ササカワは目を覚ました。  見慣れたいつもの朝、ぴったり5時半。  外は見事に晴れているが、じっとりと汗ばむ熱が既に伝わってくる。  朝が苦手だったはずなのに、もう目覚ましが鳴る寸前に止める器用さも身についた。  昨日と同じように、テレビの電源を入れる。画面の中では昨日と同じキャスターが、昨日と同じような顔で昨日と同じようなニュースを読んでいる。  無意識に冷凍庫から食パンを取り出し、トースターに放り込んだところで、ササカワはふと思い出した。  昨晩、ちょっとした気の迷いからなぜか手にすることになってしまったモノが、鞄の内ポケットに入ったままになっていることを。
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