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「じゃあ仕事に身も心も捧げてるってことかぁ。会社にとってみりゃ、貴重な人材なんじゃないの?」
もしかして持ち上げてくれようとしているのだろうか――とは、残念ながら露ほども思わせない見事な棒読みだ。
まったくもって、駅前商店街の片隅に置かれたこの椅子に尻をつけてしまった自分が腹立たしくてならない。
何が占い師だ!!
こいつが!?
とても信じられない!
駆け出しでも、もうちょっとまともに接客するものじゃないか?
しかも信じられないことに、この夏の夜気に溶けかけたダラけ男を、崇拝すらする依頼者が存在するのだという!
現に、隣の部署の何とかいう女子社員も、一回占ってもらっただけで心酔してしまったらしい。
ササカワは、信者は彼女一人だけなのではないかと思いたくなってきた。
もし本当に目の前の男が迷える人々を救うカリスマ占い師なのだとしたら、世の中、意味不明なものが流行るのも仕方ないかもしれない……としか言いようがない。
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