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男は、時代がかった分厚い机にどかっと肘をつきなおし、両指を組んで顎を乗せた。
今度は下目に見られることになったササカワは思わず腰を浮かせた。
舗装の粗い道路に置かれた椅子が、尻の下でガタつく。
「え、じゃあ僕は手の施しようがないってんですか? このまま仕事のことばかり考えて生きろと?」
「や、そうは言わないけどさ。僕が今すぐ何とかしてあげるってのは、ちょーっと無理じゃないかなぁ」
「だって、『あなたの悩み解決』って、そこの看板に! せ、せめてこれから先の見通しか何か……」
「解決するかもよ、ってぐらいの意味なんだな、あれ。だいたいさ、未来なんてわかるわけないじゃないか。考えてもみなよ」
「ふ……ふざけないでもらえますか!!」
ササカワは思わず立ち上がった。
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