一本

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それからというもの、圭介の家には 【後、●日】という カウントダウンの手紙と一緒に離婚届けと輪切りの指が送られてきた。 指が送られてくるたび、圭介は野良猫に指を喰わせている。 ちょうど今は、薬指あたりだろう。 だんだん短くなってきている。 そしてつもりに積もった離婚届け。 最初の一枚以外はすべてシュレッダーにかけて捨てている。 最初の一枚はまだ引き出しの奥深くにしまいこんだままで、手をつけていない。 さらさら離婚届けを書く気なんてないらしいがそれもそのはずだ。 結婚してからまだ7ヶ月しかたっていないうえ、今離婚をしたら、妻である美紀のお腹の中にいる小さな命は不幸な人生をおくることになるのだ。 [[全ては美紀と子どもため...。]] 圭介の中に小さな闘争心がわいた。
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