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昼食を挟み、いよいよ練習のスタート。演奏する場所は地下に設けられた演奏室のような場所で行われる。設備もそれなりに揃ってはいるが、何分長く使われていないため今となっては旧式となってしまうが、それでもメンバーは喜んで飛びついた。
梓
「これ、全部先生のですか!?」
響
「ん…まぁほとんど貰い物だがな。それに旧式だから、使えるかどうか……」
試しに、ギターを少し弾いてみる。どうやら問題なさそうだ。他の楽器でも試してみたが、さほど問題なく使えるようだ。
響
「よし。まずは中野、こっちに来い」
梓
「?はい……」
響
「じゃあこの四人だけで演奏してみろ。曲は何でもいい。ワンコーラス終わったらメンバーを入れ替えて繰り返す」
まったく意図がわからない様子で演奏を始める。曲目は“ふわふわ時間”だ。
響
「………よし。次、田井中」
そして、数分後。
響
「……さて、今自分が抜けた時に聴いていて感じたことや思ったことを言ってみろ」
律
「思ったこと?」
少し考える仕草を見せてから、元気よく手をあげたのはやはり平沢だった。
唯
「お腹すきました!」
響
「マジメにやれっ」
澪
「……やっぱり、ドラムが走りすぎている気がする」
律
「ムッ…そういうベースこそ、ちゃんと音とれてんのか?」
響
「誰が喧嘩しろと言った。意見を言えと言ったはずだ」
やはり、意見交換ともなると本音で言える者とそうでない者がいるらしい。
響
「いいか?自分達で合っていると思っていても、第三者からしてみれば音がとれていなかったり、リズムが崩れたりしていることがある。ことに自分のパートに関しては、な」
梓
「なるほど……確かに今までこんなことしたことあまりなかったです」
響
「自分のテクニックや演奏に自信を持つのは大切だ。だがそうするあまり周りに目を向けられなくなったら元も子もない。特にドラムはバンドの土台だ。リズムが狂えばギターの二人もタイミングを見失う」
律
「う…………」
響
「ベースはギターよりも音も低くくあまり目立たない。だから主張しなさすぎると音が消える」
澪
「…………」
響
「キーボードはオロオロしすぎだ」
紬
「はい……」
響
「それにギター二人!特にリードは自分勝手にフラフラするな。相方のフォローも間に合わないし相方も釣られすぎる」
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