お化け屋敷

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此処のお化け屋敷の売りは何と言ってもリアリティだ。驚かせる役の人は勿論だが、リアルな蝋人形は圧巻だ。 そんな話を聞いたA君カップルは、早速お化け屋敷に入ることにした。 此処のお化け屋敷のテーマは猟奇的殺人犯。ある洋館のパーティーの最中、貴婦人が1人…また1人と消えていき惨い死に方をするという。和風の墓地や廃病院が多い日本では、斬新なテーマである。勿論、A君の彼女は怖がっていました。 「A君、顔がリアルだね…」 「そうだね。確かにリアルだよね。この怖がった顔なんてさ」 「A君、何か血生臭いね…」 「Aく…」 すると突然、彼女の声が途切れた。A君は振り返るが、先程までいた彼女が見当たらない。そしてそれと共に、叫び声が聞こえた。 しかし、このお化け屋敷は所々ルートが別れている。もしかしたら、別ルートに行ってしまった可能性も高い。それに、叫び声は演出だろう。そう思い、A君はそのままお化け屋敷を突破した。 「あぁー怖かった」 3分もすればお化け屋敷から出られる。A君はそう思った。 しかし、待てど待てども彼女は帰ってこない。20分が経過し、遂にA君はまたお化け屋敷に入って探す事にした。 二度目のお化け屋敷は差ほど怖くないが、やはりリアリティのある人形だけは二度見ても怖い。冷や汗をかきつつ、別ルートへ進んだその時… ぐわぁぁぁ!! 「うわぁぁ!?って、蝋人形を吊しただけ…」 普通なら、人形が宙吊りになっているで済まされる。少し血生臭いのも演出だと言い切れる。 しかし、A君はこのお化け屋敷の本当の恐怖を知った。 恐怖に満ちた彼女の顔が蝋で固められて殺害されていた…しかもそれが…目の前の蝋人形だった… 完
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