240人が本棚に入れています
本棚に追加
此処のお化け屋敷の売りは何と言ってもリアリティだ。驚かせる役の人は勿論だが、リアルな蝋人形は圧巻だ。
そんな話を聞いたA君カップルは、早速お化け屋敷に入ることにした。
此処のお化け屋敷のテーマは猟奇的殺人犯。ある洋館のパーティーの最中、貴婦人が1人…また1人と消えていき惨い死に方をするという。和風の墓地や廃病院が多い日本では、斬新なテーマである。勿論、A君の彼女は怖がっていました。
「A君、顔がリアルだね…」
「そうだね。確かにリアルだよね。この怖がった顔なんてさ」
「A君、何か血生臭いね…」
「Aく…」
すると突然、彼女の声が途切れた。A君は振り返るが、先程までいた彼女が見当たらない。そしてそれと共に、叫び声が聞こえた。
しかし、このお化け屋敷は所々ルートが別れている。もしかしたら、別ルートに行ってしまった可能性も高い。それに、叫び声は演出だろう。そう思い、A君はそのままお化け屋敷を突破した。
「あぁー怖かった」
3分もすればお化け屋敷から出られる。A君はそう思った。
しかし、待てど待てども彼女は帰ってこない。20分が経過し、遂にA君はまたお化け屋敷に入って探す事にした。
二度目のお化け屋敷は差ほど怖くないが、やはりリアリティのある人形だけは二度見ても怖い。冷や汗をかきつつ、別ルートへ進んだその時…
ぐわぁぁぁ!!
「うわぁぁ!?って、蝋人形を吊しただけ…」
普通なら、人形が宙吊りになっているで済まされる。少し血生臭いのも演出だと言い切れる。
しかし、A君はこのお化け屋敷の本当の恐怖を知った。
恐怖に満ちた彼女の顔が蝋で固められて殺害されていた…しかもそれが…目の前の蝋人形だった…
完
最初のコメントを投稿しよう!