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『開かずの踏切につき注意せよ!』
長さ2mで横幅は車一台プラス歩道分の踏切。これはその踏切の前に掲げられた看板だ。
開かずの踏切を単純に考えれば、なかなか開かない上に開いている時間が短い踏切の事である。だが実際は、開閉時間は他と変わりはない。よく私は高校の通学の際、この開かずの踏切を利用する。私はその度に疑問を感じた。
「奈々ちゃん(仮名)、何であの踏切は開かずの踏切なの?」
「そう言えば、確かに疑問だね飛鳥さん(私・仮名)。でももしかしたら、お婆ちゃんなら分かるかも!」
「本当に!?じゃあ今日、奈々ちゃんの家寄って良い?」
「良いよ!」
その帰り道、私は奈々ちゃんの家に寄った。
奈々ちゃんのお婆ちゃんは82歳で、この辺りで有名な物知りお婆さんだ。早速ご挨拶をし、私はこの開かずの踏切について聞いてみた。
すると突然穏やかだったお婆ちゃんが、いきなり睨みを効かせた表情に早変わり。
「開かずの踏切ではない!開けずの踏切が正式な名前だよ!」
「「開けずの踏切?」」
「昔、あの踏切で恋人にフラれた男が自殺をした。それ以来、男が気に入った女性がいると、女を道連れにする様になったんだよ」
「恋人欲しさに…凄いわね…」
「しかも男は女癖が悪くてな、次から次へ気に入った女性を道連れにするんだよ。でだな、10人目が道連れになった際にお祓いしたんだが…」
「まさか、祓えなかったのですか?」
「“あと1人待て。そしたら必ず成仏する”と申した。ただ、お祓いしてもう40年だがな」
オカルト好きな私は興奮したが、奈々ちゃんは終始怖がっていた。でも40年か…もうこんなに経ってるなら来ないかな。
帰り道、奈々ちゃんと踏切の前までやって来た。試しに私は、奈々ちゃんと踏切を写メしてみたが、何も写らなかった。
そして踏切が開き、私はさよならを言って渡ったその時…
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