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数日後、ぬいぐるみは完成されて包装紙にくるまれていた。綺麗なウェディングカード付きだ。早速、女性は式に出席して友人の花嫁さんに直接渡した。
「まあ、可愛いぬいぐるみだね。今流行っているアレ?」
「ええ、そうよ。そして、貴方の運命を幸せに導くわよ」
「それは凄いわね!」
花嫁さんは大喜びしたが、渡した女性は気味の悪い笑みを浮かべて会場から出て行った。
それから2年後。事件は突然起きた。奥さんとなった彼女は、ぬいぐるみを洗おうと洗濯機に入れた。ぬいぐるみの洗い方が分からないのか、通常の衣服同様の洗い方をした。その次の瞬間、奥さんは急に座り込んだ。そのまま床でもがき苦しみ、断末魔に似た声を発しながら死んだ。
後日、事件性を考えて検死したところ、何故か肺から夥しい水と洗剤が検出された。警察でもお手上げの状況である。
そして通夜の日。突然の訃報に、皆涙を流した。
しかし、例外が1人いた。ぬいぐるみを渡した女性が入口で立っていた。そして、小さく呟いた。
「あの女の髪と似せたぬいぐるみで、まさか溺死になるとは…フフフ…」
完
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