狐ト猿ノ交ワル刻(山*関)

6/6
前へ
/39ページ
次へ
「またおいで」 私の耳元でそう囁き、彼は手の平で私の目を閉じた。 ****************** 目を開けると彼の姿は何処にもなく、辺りには相変わらずびゅうびゅうと生温い風。 あれ、は何だったのだろう。本当に狐に化かされたのかもしれない。 中禅寺の熱いものとは異なる、あの、冷たい口付け。 私は今更に熱を帯びてきた口元に無意識に手をあて、一人あかくなった。 またおいで。狐は確かにそう言った。 私はまた此処に来るかもしれない。 否、きっと来るのだろう。だって狐に化かされているのだから…。 終わり
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加