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気が付くと、私は黒に囚われていた。
すっぽりと、体全体を余す処無く包まれ、私の身体は燃えそうな程、熱い。
「――京、極堂――」
「飛んで行くのは構わない。だけどね関口君。必ず此処へ戻っておいで」
酷く優しい声音。
中禅寺も熱を帯びている。
「僕の、お願い、だ。関口君」
「ん、あぁ――」
視界も黒で覆われた。
飛んで行く事なんて出来無い。出来る筈が無い。
だって、あんなにも焦がれた場所へ、辿り着いたのだから。
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