狐ト猿ノ交ワル刻(山*関)

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「あれ、が話さないのは君のことだね」 男はそう言った。 友人よりも低い、だが凛とした善く通る声。 「・・・あれ、とは・・・貴方、は・・・」 私は恐る恐る問うて見た。 「否、何でもない。忘れるがいいよ。」 陰が笑った。 ざざざざざざ 風が突き抜けた。 目を開けると、其処には誰も居ぬ、只無機質な空間。 夢か現か。 狐に包まれた様な私を残し、辺りは闇に包まれた。
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