【雪昇街】

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【雪昇街】

冬がまた街を覆い 街灯は静かに熱を帯びる 上気したままの冷たい頬に 雨垂れの涙が零れた きっと何より哀しい恋唄 あの日に交わした約束も 愛の温もりも忘れそう 君と歩いたこの道も 今は雪が隠してしまって 想い出すらも零れそう 愛してるの言葉も 風邪声の今は伝わらない 熱の篭った頭の中で 君のことだけ追い掛けた 君がいない夢を見て 闇がまたこの街を覆い 世界は静かに光を失う 悲しげに君が笑みを浮かべ 音も無く命が消えた きっと何より愛しい黄昏 あの雪と溶けた約束も 今の気持ちも忘れない 君に届くはずのこの道は 今は雪が隠してしまって 希望すらも見失いそう 愛してるの言葉も 君がいる空には届かない 現実を拒む頭の隅で 君のことだけ求めてた もう叶わない君との夢を まだ君に聞こえるなら 一言だけ贈りたい 君がいたあの冬の約束 溶けることのない愛を
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