【和魂春恋別】

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【和魂春恋別】

柳桜が囁いて 十六夜別れの綾瀬なら 貴しそなたの乱れ髪 我が指絡めて参りゃんせ 吉原華やぐ女郎の散り様 † 舌を這わせた雪牡丹 苦い雫を味おうて 今宵の浮世は煌めくか たとへ一度の禁忌とも この身全てを愛でやんせ † 白き百合が朽ち果てて 恍惚浮かぶは血潮の幻 香にそなたの情霞み 我が夢奪ってくれやんせ 色欲浮かべる女郎の生き様 † 肌を重ねた紅鬼灯 甘い吐息を嗅ぐわいて 今宵の相手は誰やろか たとへ能の面やとも この身全てを捧げませう † 途切れつ喘ぐ化かし合い 艶に乱れた絹の中 揺らめく意識を撫で回す 今宵だけの そなたを愛す一夜の幻
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