願い

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その言葉に観念したかのように、小さく声を発する俊哉。 「ああ」 しかし、その返事は本心ではなかった。 隙を伺っていたのである。 亮は俊哉を鉄柵に押し付け、後ろから肩を組、もう片方の手で包丁を押し当てていた。 「一つ。お前に聞きたい事がある」 隙を作らせる為に、話しをし始める。 「なんだ?」 俊哉の思惑も知らずに話しを聞く亮。 「さっき俺は質問をしたが、お前は答えてねぇ事がある」 少しの間を置き、首を傾ける。 「なんだよ?」 俊哉は目を細め亮を睨み付けると、ちらりと腹に押し当てられている物を凝視しする。 「なんで、こんな手の込んだ事をした? 俺に精神的ダメージを与えたかったのは分かるが、何故お前は自分の存在を、俺に知らせようとした?」
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