願い

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亮は遠くを見つめる。 何か答える事に躊躇うようでもあった。 そして、その瞬間が生まれた。 俊哉は一瞬の隙を突き、亮の包丁を持つ手を、こぶしで思い切り叩き付ける。 カラン 手から落ち金属音が鳴り響く中、今度は身を屈め、肘で亮の腹を突く。 「うっ」 それが上手く決まり、嗚咽をこぼす。 間髪入れずに、包丁を取りに行こうとした時だった。 その場で踏み留まっていた亮は、後ろから俊哉の足を払う。 バランスを崩し倒れ込んでしまった。 すると、包丁を余裕な顔で拾い上げる亮がこちらを見てほくそ笑む。 「ばーか! 誰だと思ってんだよ? でも、惜しかったな」 次の瞬間。 包丁を高く振りあげる亮。 もう駄目だと、両目を固く閉じ歯を食いしばる。 シュッ
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