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カラ……ン……
遠くから、金属が落ちる音が響く。
「……えっ」
声を漏らしゆっくりと目を開くと、そこにいた筈の亮の姿はなく、入口付近に光る包丁を確認する。
「ど……どこ……」
首を振り辺りを見回すと、亮はすぐ近くの手摺りに、肘を付きこちらを見ていた。
「ハハッ! 何ビビってんだよ?」
訳がわからなかった。
覚悟を決めていた俊哉は、一気に力が抜けてしまい、その場にしゃがみ込む。
心臓の鼓動が早鐘をうち、呼吸が荒くなる。
「何がしたいんだよ!」
鼻で笑う亮に怒りをぶつけると、俯く俊哉。
不意に、視界の端で影がちらつく。
ハッとなり俊哉は顔を上げる。
「や……やめ……」
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