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亮は手摺りに両手をかけると、勢いをつけて柵を乗り越える。
息が止まりそうになる俊哉。
わずかな足場で体を反転させると、こちらを向き、ニヤリと笑う。
「覚悟は出来たか?」
先程と同じ言葉を耳にし、初めて理解する。
「亮! 馬鹿は止めろ! 戻れ!」
美佐子の時と同様、言葉の意味をはき違えていた。
俊哉の制止も聞かず、亮は話し始める。
「なぁ、さっきの答え聞きたいか?」
鉄柵に手をかけてはいるが、今にも離してしまうのではないかと、気がきではない。
「そんな事今はどうでもいいから、こっちへ……」
「どうでも良くなんかねぇ!!」
叫び声をあげる亮の顔は、真剣であった。
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