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広い屋上に上がった叫び声は、夜風と共に流れてゆく。
その表情を見て、俊哉は覚悟を決める。
もう、止める事など出来ないのだと……。
すると、目を閉じゆっくりと語り始める亮。
「俺さ、もうどうしたらいいのか分からなくなってたんだ。ななの事心から愛してた。でもな?」
一呼吸置き口を開く。
「お前の事……好きだったんだよな。ずっと……親友として…………傍に居たかったんだよな」
閉じた瞳から、水滴が頬を伝い落ちてゆく。
亮が見せる、最初で最期の涙。
口を強く閉じ、歯を食いしばっているのが分かる。
「……お前は素直で、馬鹿で頼りないけど…………俺にとっては、かけがえのない存在で……」
俊哉の瞳からも、次から次へと涙が溢れ出していた。
そして、そっと声をかける。
「ならなんで、言ってくれなかった? 俺にとってもお前は……大事な親友なんだよ…………なんで」
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