いつか、再び

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件名:亮へ 07/30 22:15 宛先: 【今このメールを見ているという事は、あたしはこの世に存在していないと言う事です。 最期まであたしを見守っていてくれて、感謝してもしきれません。 あたしの病は体を蝕み、やがて朽ち果てるのでしょう。 そうなる前に、あたしは実行しなければなりません。 そして、貴方はあたしが裏切ったと思うのでしょうね? そう思ってくれて当然だと思います。 けれど、一つだけ。 あたしは、亮。貴方を愛しているのです。 行動しているのは、病の恐怖に負け、執着心という炎に身を焦がした女の残像。 もう、そうする事でしか……狂う事でしか、病に蝕まれていく恐怖から逃げ出す事が出来ないのです。 貴方の深い愛に気付かなかった訳ではなく、貴方を失う事が怖かった。 貴方を受け入れてしまえば、やがて訪れる別れの時があたしには怖い。 今更何をと思いますか? これがあたしの本心。 貴方を心から愛した女の最期の言葉。 そして最後に。 あたしの事は忘れて下さい。 そして、いつか生まれ変わって、再び出会えたなら、今度こそきっと幸せになろうね。 貴方の幸せを願っています。 さようなら。 なな 】
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