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カタン……。
俊哉は携帯を床へ落とし、こぶしを叩きつける。
亮は、愛する存在の間で、苦しんだに違いなかった。
どちらを選ぶ事も出来ずに、ななと同じ道を選ぶ。
それが今回の事件の本当の理由。
戻れない場所にまで自分を追い込み、命を絶つ。
俊哉は思い切り顔を歪め、子供のように泣きじゃくる。
どうして気付いてやらなかったのかと。
亮は自身を止めて欲しかったのだ。
自分ではどうにも出来ずに、俊哉に助けを求めてきていた。
散々自分は助けられた。
己の事しか考えず、人を傷付け、気付いてやる事も出来なかった自分を責める。
それでも亮は最期に“ありがとう”と……。
そして、もう一度あの言葉を思いだす。
『願いを叶えてくれて、ありがとう』
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