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カチャ
携帯を片手で開くと、横から美佐子の手が被さる。
「もう! 俊哉行くよ? あたし達の結婚式に、携帯なんか必要じゃないでしょ?」
頬を膨らませ、むくれる。
「ハハッ! わりぃ。んじゃ行くかぁ! 亮にも見せ付けてやっか!」
白い携帯を、タキシードのポケットにしまい、自分の物はテーブルに置く。
「さぁ、行きましょ? あたし達の新たな第一歩よ」
咲き誇る、ピンク色の花のような笑顔を見せ、俊哉の腕に手を潜らせる。
「美佐子。いつまでも、愛してるからな」
二人は扉を開くと、幸せを噛み締めながら、部屋を後にする。
プルルル
開いたままの携帯が、振動により、床に落ちる。
その衝撃でなのかは分からない。
メールの受信ボックスが開かれた。
そして、再び……。
件名:30
06/30 14:30
送信者:まゆみ
【貴方の全てを知っています。私は貴方を愛しています】
【END】
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