不意に

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その日は雲一つない、満月の夜だった。 真っ白なサマードレスが、ヒラリと夜風に揺れる。 それに合わせて、長い髪がサラサラと流れていた。 こちらへ手を振る女。 はっきりと表情は見えないが、赤い口紅をつけているのが分かる。 その異様な赤色は、夜にもかかわらず辺りの電灯により、鮮明に浮き出ていた。 そして、その口元は歪む。 俊哉は身を乗り出し、ソファの前に置かれたガラステーブルに、手を付いた。 瞬間。 両手を上げ、女は屋上から飛び下りたのだった。
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