道無き道を往く

4/6
前へ
/48ページ
次へ
遅れてレイジの前髪が1房、ふぁさっと宙を舞い、そしてレイジを拘束していた水門の鉄で出来た格子が縦に真っ二つに割れた。 幸いな事にグリュートの斬撃は平常心で行わなかったためかレイジの前髪に掠る程度に留まる。 自らを拘束していた格子の末路に、もしグリュートが平常心でさっきの技を行ったらと考え背筋を震わせる。 ルナ 「お父様! レイジ様に何て事をなさるんですかっ!」 グリュート 「離せっ! ヤツは! ヤツだけはこの手で俺が殺す!」 二人が言い争いを始めた時後ろからの声。 リリ 「今のうちです。 王が切り開いた水門からでましょう。」 レイジは言葉も無くただうんうんと頷く。 気配を絶ち、二人に気付かれないように細心の注意を払いながら。 後にレイジは語る。 幼なじみの暴行でも何度か死を覚悟した事があったがこの時ほど生還できたことをうれしく思った事は無いと………
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8173人が本棚に入れています
本棚に追加