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土を踏み固めただけの道と、道に不釣り合いな石造りの巨大な建物。数メートルも行けば2メートル程の壁があり、巨大な門の両側には兵士が二人ずつ立っている。
新月の為街は暗く、明かりは兵士達の松明だけだった。
さもなければ気づいただろう。門の一番上の端の穴から通された棒に。
棒には糸がつけられ、先には拳大の石がつけられていた。石は必要な時兵士の顔面スレスレを通るように出来ている。石は屋根にくくりつけられた糸と繋がっていて、浮いてる状態だった。
そして壁の上には3人の男女が立っている。兵士のようにロリカは身に付けてはいない。
二人の男はチュニックで、女はキトンを着ていた。
彼らは順番に降りていったが、最後に降りた男が音を立ててしまった。
兵士が3人の方を見ようとしたとき、初めに降りた男がナイフを投げ、屋根にくくりつけられた糸を切る。石が兵士の顔を掠め、兵士が反対側を向いたすきに3人は路地裏へと姿を消した。
※ロリカ…筋肉を模した革製の鎧
※チュニック…ワンピース並みの丈があるTシャツに似た基本的な衣服。幅広い身分に着られた
※キトン…ポンチョを肩で留めた服。女性のキトンは袖があるが男性は袖無し
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