自営業について話したあの頃

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自営業について話したあの頃

じぃちゃんは年に一度、僕や妹、弟をつれて祖母との五人で海外旅行へ連れていってくれていた。 小学生だった僕は、海外へいくとホームシックになり、父や母に会いたくなる。正直、じぃちゃんばぁちゃんとの海外旅行は苦痛な行事であった。 中学生にもなると海外へ行くのにはお金がかかることはすぐにわかる。 だから僕はじいちゃんと二人で灯油の配送をしている時に、 『自営業ってそんなにもうかるの?』 っと尋ねてみた。するとじぃちゃんは 『食べていくには困らないけれど、じぃちゃんは、不安定な自営業より、安定したサラリーマンに就く事を勧めるよ』 っと話してくれた。 そこでじぃちゃんの生活を考えてみると、確かに節約できるとこは節約していた。  例えば、下着は多少穴が開いても、つぎはぎをして使ったり、古いファイルを使っていたり。 旅行はじぃちゃんにとって、年に一度の楽しみであったんだとその時はじめて気付いた。  自分が情けなく思えた瞬間でもあった。
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