宇宙の果てまで捕まえて

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「は?」  ――何か、とんでもないことを言い出したぞこの子。 「いやね、私お見舞いに行くの今日が初めてってわけじゃないからさ。月一くらいで様子を見に行ったりしてたんだけど、『今日は一人なのね』とか『山田さんは幼馴染がいるのよね』とか言われたことあるもん」 「それは、別に僕のことじゃなくて唯の日常会話の範疇じゃないかな?範疇だよ」 「……あんまり言い回しが逃げ腰だと遠野さんが流石に可哀想だよ? それに、今日見たでしょ? 日常会話を遠野さんからしてくるなんてこと、あると思う?」  詰まされた感じだった。 相談することで状況が悪化するなんてことがあると信じたくはないけれど、相談した手前話を切るわけにもいかない。 何より、秋穂に話した以上答えを出しておかないと僕の今後の学生生活がそこそこ危険な領域に突入してしまうかもしれないのだ。  それだけは、避けたい。  避けたいけど、次の言葉を搾り出すまでに数分の勇気が必要だったことだけは分かって欲しかった。
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