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ひっく、えっぐ…
俺の泣きじゃくる声が、部屋に響く。
いい大人が、声を出して泣くなんて。
自分でも、泣いてる中で時々ふと我にかえると嫌になる。
それでも、涙は止まらない。
ひっく ぅっえ、えぐ…
そんな俺の顔を、のぞきむ男。
俺の幼なじみ。
お前のせいで、こんなに泣いてるのに。
お前は、じっと俺を見てるだけ。
「お前が泣くの久しぶりに見るな…。」
ああ、そうだろうとも。
お前のために悲しみや罪悪感や後悔や
さまざまな負なものが静かに俺を満たして
たまって 沈殿して。
それでも俺の身体は生きてるから、「生活」をするけれど。
でも、感情も、感覚も、薄れて鈍くなっていくんだ。
電池の残量が少ない機械みたいに、
やっと何とか「生活」を行動してるんだ。
そんな俺が、こんなに心の底から感情を露呈するなんて
ずっと最近は無かったよ。
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