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「ごめんな? 泣くのってすごいエネルギーいるのにな。」
とても珍しく、少しすまなそうに、結城にそっと頬に触れられて。
お前のせいで泣いているのに、触らないで欲しい。
……それでも、自分でも知っていた。
感情も、感覚も
どれだけ鈍くなっても。
結城、お前に関しては
戻るんだ。
ほら、だから涙が出ている。
久しぶりの涙。
前に泣いたのも、絶対にお前のせいだった。
そっとそれを拭われる。
結城の指。
少しはすまないと思ってくれているのだろうか。
少しは変わってくれるだろうか。
なあ、結城。
「でも俺、お前が泣いてるの見るの…大好きなんだよな。」
ああ、とびきりの笑顔で。
悪魔は俺に、
そう言った。
end
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