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―次の日―
「恭二! 起きろ!」
突然、俺の部屋の扉が開かれ、キュラが俺を叩き起こす。
「いてぇよ。…………どうした? なにがあった?」
しぶしぶ起き上がりキュラの顔を見ると、普段は見ない真剣な顔をしていて。ただ事じゃないことを悟りキュラに問いかけた。
「レッドキャップが裏の森に出たらしいの。さっき将野が殲滅させたって」
レッドキャップってのはこの寮の裏に森があり、そこに巣をいくつか作っているらしい。
見た目は子供ぐらいの身長で、顔は老人。牙みたいに鋭い歯を持っており、爪は長く先が鋭く尖っている。赤い帽子に鉄の靴を履き、柄の長い斧を持ち歩いている。
ゲームでいう雑魚敵みたいな存在だ。
「らしい。ってことは将野が一人で戦ったってことか?」
「そうみたい。でも将野が言うには現れたのは一体じゃなかったみたい……」
「どういうことだ?」
レッドキャップという種族は普通、単独行動が常だ。それが数体現れたってことはおかしい。
「今日は転校生が来る日だよね……」
「ああ、華野美だったか……。キュラはそいつが関係してると?」
「そういうわけじゃないんだけど。最近は特に異常はなかったのに突然レッドキャップが数体現れるなんておかしなことと。
転校生が来る日が同じなのはただの偶然じゃない気がして……」
「…………なるほど。だが職員の中にも誰かはわからんが怪しいやつはいる。
そいつが犯人の可能性もある。無闇に転校生に変な質問をして怪しまれないよう気をつけてくれ。
他のみんなにもそう伝えてくれ。俺は着替えてから行く」
キュラは「わかった」とうなずくと部屋を出ていった。
「……あ~、めんどくせぇ…………」
学校の制服へ着替えながら知らぬ間にぼやいていた。
めんとくせぇが、仕方ない。俺は俺なりに調べるか。
俺は着替え終えると朝飯を食わずに寮を出た。学校へは徒歩で五分とかからない道のりだ。
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