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「ちぃーっす」
俺が教室に入れば中にいた数人が俺に視線を向けてきた。
「おっす! 美弥も相変わらず小せぇ胸してんな!」
その中の一人、優の姉である美弥に元気よく挨拶した。のだが。
「………………」
あれ? 無言で人を殺せそうな黒いオーラを放つ目で睨まれたよ?
「お! 美姫も来てたのか。相変わらずいい曲線を描いてるな!」
なんだろ……。さっきからクラスメートたちに冷たい目線で見られてる気がする…………。
美姫は一人うつ向いて照れているが……。
「そこを退いてくれないか?」
急に後ろから声がしたので振り替えると、メガネをかけたエルフ、もとい将野が立っていた。
「なんだよ、将野は隣のクラスだろ」
将野を睨むも、既に俺は眼中にないらしく横を通りすぎて美弥の前まで歩いていった。
「き、今日もいい天気ですね、み、美弥さん」
「あ、ああ、そうだな」
将野の突然の天気の話に美弥は苦笑しながら答えた。
ちなみに今の天気は曇りだ。
それにしても…………また始まったよ。
将野は毎朝毎朝Aクラスに来て、美弥に天気の話をして帰っていく。という謎の行為を行なって行くのが日課になっている。
「そ、それではまた明日」
将野はそんな言葉を言い、俺の横を通りすぎ、教室を出ていった。
横を通りすぎるとき、俺にだけ聞こえるぐらいの小さな声で不吉な言葉を残して…………。
「ヤツラ、また動き出したみたいだ」
確かに将野はそう言っていた。ヤツラ、名前もわからない俺らの敵。ここ最近は何事もなく平和だったが…………。
俺は席につくと、大人しく朝のホームルームの時間をまった。
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