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次の休み時間、俺は転校生に集まる野次馬に混じり、華野美から情報を怪しまれない程度に聞き出そうと迫った。
「胸でかいな」
おっといかんいかん。つい思ってたことを口にしてしまった。よし、気をとりなおして。
「なにカップ?」
ドスッ
何故か急に後ろから首に腕を通してグイグイと引っ張られた。てかギブ! マジ苦しいから!
廊下まで無理矢理引っ張り出された。
この胸のサイズと弾力性、恐らく。
「…………キュ、ラ、なんの、ようだ?」
僅かに首を通る空気を利用し、やっとのことで声を絞り出す。
「なんで私ってわかったの?」
やっと喉をしっかりと空気が通る感覚を味わいながらキュラに向き直り、笑顔で言ってやった。
「そんななだらかな胸は…………」
俺が喋れたのはそこまでだった。
ふと気づくと俺は床に倒れていた。あれ? 俺はいったい…………。
「大丈夫?」
何故か、そう、何故か床に倒れている俺に、キュラが心配そうに手を伸ばしてくれた。
「お、お前いいやつだなぁ!」
俺はキュラの優しさに涙しつつその手を握った。辺りの人たちが可哀想なモノを見るような目で俺を見ていたような気がしたが恐らく気のせいだろう。
そうそう、キュラはここで久弥瀬知として存在しているため、キュラと呼んでも名字と名前の頭文字をとっただけと思われるので、ドラキュラのキュラだと気づかれる心配はないのだ。
「で、どうしたんだ?」
改めて俺がキュラに向き直ればキュラは冗談とも真面目ともとれる微妙な表情でこんなことを言ってきた。
「白鳥たちが夜学校に入る日がわかった」
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