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そんなことをやっているとあっという間に下校の時間になり。俺らは校門で将野のグループと合流した。
「将野たちの方は異常はなかったか?」
そう将野に尋ねれば、将野はうなずくと「ああ」とだけいい勝手に歩いて帰ってしまった。
「冷たいやつだなぁ」
キュラがそう言うと風蓮が少しため息みたいなのをついてから呟いた。
「……そういうやつ」
まあ、仕方ないか。
そんな風に四人と一匹でいると突然後ろから声をかけられた。
「あれ? 恭二たちじゃねぇか。まだ帰ってなかったのか?」
振り替えればそこには美弥が立っており、後ろでは優が靴を履きながらこっちへ来た。
「美弥こそ今日は飛鳥たちと一緒じゃないんだね」
ニッコリと微笑む美姫に「まあな」と美弥が言いながら何やら説明を始めた。
「今日、飛鳥と麗はなんか飛鳥の夏目さんに呼ばれたらしくてな。先にどっかいっちまったんだ」
「飛鳥と麗が夏目さんに呼ばれた? なぜかわかるか?」
恐らくは明日のことだろうが……。優を見れば首を横に振って「わからない」と言っていた。
ちなみに麗というのはうちのクラスの[日比谷 麗(ヒビヤ レイ)]という容姿端麗なうえに勉強もでき、スポーツまで何でもうまくこなす。女子でのトップが美姫なら、男子のトップは麗といったところだ。かなりの美少年で手先も器用でハリウッド専属で特殊メイクを仕事としてる人を軽く凌駕するほどの特殊メイクの腕を持ち、七色の声を操り……。
七色だとかなり少ないが、とにかくたくさんの種類の声をだせる。小さな男の子の声に始まり、成長して声が大人っぽくなった女の子の声、さらにはだいぶ年をとったおじいさん。などなど。
とにかく色んなジャンルの声真似ができるのだ。もしかすると麗が一番説明が長いかもしれない。
「それで捺と華野美はそれぞれ用があるとかで先に帰って。ウチらは……」
「人には言えないような恥ずかしいことをしてたらこんな時間になってしまった。と。……グフッ」
美弥の説明の腰を折ったら美弥にすごいスピードでみぞおちに拳を叩き込まれた。
「ただ先公に用事を頼まれただけだっつうの」
今美弥からすごく見下してる視線がきてる気がする……。
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