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十分後……。
「まさか最初からババが入っていなかったとは…………」
確かに途中でおかしいとは思ったんだ。お互いの手札の合計が偶数なのは……。
「それにしてもあの二人遅いね」
リディアが扉の方へ視線を動かし、俺もつられて扉へ視線を移した。するとタイミングのいいことに控え目なノックの音が聞こえた。
「は~い」
扉を開けると下を向きながら顔を赤くした美姫が立っていた。
「あの……私…………」
「大丈夫……」
うつ向いている美姫に、俺は優しく諭すように声をかける。
「え?」
「上も水色なのは知ってるから」
「うぅ…………」
なんか余計に顔が赤くなってしまっている……。
そんなことをやっていると後ろからリディアが声をかけてきた。
「立ち話してないで入ってきたらー?」
「え? リディアいたの!?」
それに対し美姫が異様な驚きをみせていた。
「なんでそこまで驚くんだ?」
「ふぇ!? ……いや、そのぉ…………。予想外だったというかぁ……」
頬を赤らめながらもじもじする美姫は物凄く、物凄く可愛い。
「予想外? 予想外って?」
「うぅ……。と、とりあえず、お邪魔しま~す」
訳のわからぬままとりあえず美姫を部屋へと入れ、扉を閉める。
「それでなんで私を呼んだの?」
「ん? ああ、暇だったからトランプでもやろうと思ってな。あとキュラも呼んである」
「ああ、そうだったんだ……」
何故か残念そうな美姫。なんかマズイこと言ったかな……。
「ところで[とらんぷ]って何?」
「うおぅ! それこそ予想外の返し!」
「ご、ごめん」
美姫の質問に驚けば、美姫は申し訳なさそうに謝るので……。
「仕方ない。俺が手取り足取り教えてあげよう。まずは服を脱いで」
「えぇ! ふ、服を脱ぐの!?」
「いやいや、脱ぐ必要ないから。恭二は何を教えるつもりなのさ」
俺の冗談にも真剣に相手をしてくれる美姫はそれはそれは可愛くて。リディアのツッコミはあえて無視してみる。
結局なんだかんだでちゃんとトランプを教えることになったのだが……。うーむ、残念だ。
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