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美姫にトランプを教えたところでポーカーやブラックジャックなどのカジノでは定番のゲームを実際にチップを使い、やってみたのだが……。
あっという間だった…………。あれよあれよの間にリディアと俺のチップは全て美姫に持ってかれていた。
何でも、カードをシャッフルするときのその人の癖や、どのくらいどのように混ぜたか、あとは確率論などで次に来るカードを予測し、降りるとこは降りて上げるとこは上げていくとかで完全な美姫の勝利になった。
たぶんラス・ベガスとかに行けば如何様さえされなければかなりの儲けになりそうな程美姫は強かった。
迂闊だった…………。美姫はあの麗と首位を争う程の頭脳の持ち主なのだから良い意味でそうそう俺らの相手になるわけがない。
「えっと……。なんかごめんね……」
俺らがあまりにも絶望した顔だったのか、美姫は身を縮まさせていた。
「いや……。大丈夫、うん、予想外だっただけ」
俺はカードを集め、束にする。そんなところで部屋の外から大声で将野の声が聞こえてきた。
「飯できたぞー!!」
俺はそのままカードをケースにしまい立ち上がる。
「んじゃ飯行こうか」
美姫たちは「そうだね」と言いながら立ち上がりそれぞれ部屋を出ていく。俺も最後に電気を消して部屋を出た。
食堂には既に食べ始めているキュラに奥のキッチンで包丁などを片している将野に風蓮がいた。
「いやぁ腹減ったなぁ」
俺と美姫とリディアもそれぞれの席に着くと食事を始めた。
「あ、美味しい……」
美姫は料理を一口食べ感想を言っていた。
俺も口に運んでみたが確かにこれは美味い。
美姫の声が聞こえたのか将野はキッチンから顔を出した。
「だろう? 今回のは風蓮が前に作って寝かして置いたのにオレ特性のタレで味付けしたんだ」
なるほど、よくわからんがあの料理が得意な二人が協力したんだ。不味いわけがない。
「どうだ木島、いけるだろ」
「おう! 流石将野と風蓮が協力しただけあるな」
俺の返事に満足したのか将野はまたキッチンに戻り、後片付けの仕上げを始めた。
「そういえば、キュラもさっき恭二の部屋にくればよかったのに。トランプ面白かったよ。まあ美姫の圧勝だったけどね」
リディアの言葉に美姫が申し訳なさそうにしているのをキュラは静かに見ていた。
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