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キュラは何故か大人しく顔も赤くなっていた。しかも異様に俺をチラチラ見てる気がする。
「キュラどうした? 顔赤いぞ、熱でもあるのか?」
俺がキュラの前に移動すれば、キュラはビクッと体を震わせこちらを向く。相変わらず顔は赤い。
俺は自然な動きでキュラの額に自分の額を当てる。
「うひゃぁ!」
「風邪では……なさそうだな、うん」
それにキュラは驚きの声を出した後、目を固く瞑りギュッと体を固くする。
それを美姫が凄く不機嫌そうな目で見ていた。
「なんだ美姫。嫉妬か?」
「うぅ…………ふん」
俺は笑いながらキュラの額から離れる。それに美姫はまた顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
ふと気づくと将野と風蓮がキッチンかり戻ってきて食事を始めていた。
そんなこんなで夜は更けていった。
その日の深夜。俺が寝ていると部屋の中で何が動く気配がし。敵の可能性もあるので俺はベッドから出て素早く立ち上がると脇に常時置かれている札がやたらめったに貼られている木刀を手にする。しかし、暗闇の中から聞こえた声は意外な人物だった。
「恭二、武器を下ろして。わたし、キュラだから」
「え? キュラ?」
キュラは俺たちよりも早く食事を終え、部屋へ戻っていたのでてっきりとっくに寝ているものだと思ったのだ。
しかし、油断はできない。ドッペルゲンガーやシェイプシフターといった変身や変体などをする幻獣だったりしたら笑い事じゃ済まされない。
「じゃあ証拠にキュラと俺しか知らないようなことを言ってみてくれ」
明かるければ、例えそういった変身や変体をする幻獣でも見分けられるが、今は暗い。
明かりをつけようにも相手がわからない以上、下手に動くこともできない。俺は闇に慣れてきた目で静かに暗闇にたつキュラの形をしてバスローブを着た生物を見つめた。
「そ、そんなことあるかな……」
キュラの困ったような声に俺は一つ例えをだしてみる。
「そうだな、スリーサイズとか」
「え……。わたしのスリーサイズ、わかるの……?」
暗くてよくは見えないが何となく赤面している雰囲気は伝わってきた。
「ふっ…………俺も見くびられたものだ……寮長の名のもとに東三谷高校全ての女子のスリーサイズを一年から出席番号順に言えるぞ」
「寮長の範囲を越えてると思うんだけど……」
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