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その後、キュラの言ったスリーサイズは俺の知るものと同じで、ついでに聞いた今日の下着の色も俺が確認したものと同じだった。
「なんで私がこんなことを言わなくちゃいけないの……」
かなり顔を赤く染めたキュラが明かりを消したまま(何故か明かりをつけるのをキュラが嫌がったからだ)の部屋にあるベッドに腰をかけていた。俺はその横で足をベッドから投げ出したまま後ろに倒れている。
「まあいいじゃん。それよりどうした? こんな時間に……。電気もつけないなんて」
「どうしたって…………だって、恭二が……」
そこでキュラは口を閉じると自分の髪をいじりはじめる。
「まあいいや。気がすんだら出てってくれよ。俺はもう寝るぞ」
俺は足を布団の中に入れるとそのまま目を閉じた。
「…………もう! なんで女からさせるのよ!」
そんな声が聞こえたかと思うと突然布団の中の俺の上に直接、重みがかかった。
…………え?
俺が目を開ければ息のかかるくらいの距離にキュラの真っ赤な顔があった。
「ば、バカ! 目を開けるな!」
キュラにより俺の目が手で隠され、また何も見えなくなる。
「あ、てめ、血を吸うつも――」
俺が喋れたのはそこまでだった。
その感覚に理解が追い付かなかった。
今まで味わったことのないその感覚が唇を刺激する。
俺はただただ呆然と唇にかかる独特の重みを味わっていた。
そして脳はそれを理解するのを許さないかのように、何がおきているのか考えることができなかった。
いや、考えるまでもなかったのかもしれない。
俺はそれを信じられなかったのだ。
キュラが――俺にキスをした?
時間は止まっているかのように長く感じられた。
しかし、時間が止まっていないことを証明するかの様に静かな部屋の中で時計の音だけが響いていた。
その独特の感覚が唇を離れるのを感じ。俺はゆっくりと目を開けた。
だが俺はただ目の前にあるキュラの朱色に染まった顔を見つめることしかできなかった。
鈍く金色に光るその目を…………。
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