19人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「と、とりあえず、ひ、昼飯の時間、だよな?」
俺は震える足に鞭を打ち(一応言っとくが言葉のアヤだぞ)。立ち上がった。
「子馬みたいで可愛い~♪」
今はキュラの言葉が憎々しいっ!!
それにしても腹痛い……。
男ならわかるだろう、この気持ち。
「あ、そうだった。ご飯だよ、もうみんな集まってるから早く食堂行こっ!」
そう言った美姫が俺の手を引いて少し汚い廊下を歩き始める。
「ちょっと待ってよ~」
その後ろをキュラが後を追うように歩く。
「なんていうか、最近平和だよな……」
俺のちょっとした一言に一瞬その場の空気が凍ったみたいな感覚におそわれる。
しかし、すぐにその空気も暖かみもった。
「うん…………そうだね」
にこりと美姫が笑えば、キュラも少し微笑み。うなずいた。
この東三谷高校の寮に住む人は人ではない……。
と、いうのも校長がかなり変わり者のせいだ。
ここの校長は前は幻獣などの伝説や噂などを調べる学者だったのだが、調べる為の金が足りなくなり。
そこから紆余曲折とあり、最終的に現在の校長としての、職をしながら調べている。
その校長は俺の叔父にあたる存在で、ひょんなことから俺が実家を離れて、寮暮らしになり。
校長、まあ叔父が見つけた幻獣などを寮で飼育し、東三谷高校で人間を学んでもらうため。
俺が寮長を勤めて、幻獣たちを監視している。
だが、俺は監視や飼育などと考えたことはない。
人間じゃなくても自分の意思をもって生きている以上、そいつは立派な“人間”だからだ。
そして、そんな幻獣と一緒に住む以上問題も出てくる。
類は友を呼ぶ
この言葉からわかるように、この寮に時々新たな幻獣がやって来る時がある。
そいつがまともな理性、意思を持ってるぶんには何の問題もないのだが…………。
中には理性を持たず、ただ自分の本能に従い暴れに来るものもいる。
その場合は大抵、この寮にいる幻獣で対抗している。
さらに、滅多には無いが、今まで自分の仲間だったものが理性を失い。暴走したこともあった。
理由は不明。
ただ一つ解ることは、ある幻獣が影響をもたらしていることだ。
簡単に言えば、俺らはそいつを討伐しなければ落ち着いた学校生活ができない、ということだ。
最初のコメントを投稿しよう!