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「今の私は本田 菊ではありません。日本、です。」
嗚呼なんということか。これ程までに戦いは彼女を変えてしまった。穏やかな話し方をしていた彼女の鈴のような声は、今や淡々と尖っていて言葉のひとつひとつが俺の身体に突き刺さるようだった。
そうなのだ、戦場では俺もアイツも国だ。アイツは日本で、俺はイギリス。かつては日英同盟を結んだというのに、今は枢軸国と連合国で敵同士だ。
何故だ。何故なんだ。彼女とだけは、戦いたくなんかなかったのに。大切な人と戦う。まるでアルフレッドとの…アメリカの独立戦争の時みたいじゃないか。
「そう、か…」
俺は菊の言葉理解せざるをえなかった。だから、そう。向こうが大日本帝國ならば、こちらは大英帝国だということなのだ。
…戦いは避けられない。
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