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寂れた街中の片隅で、闇が支配する中に影が揺れる。
セーラー服を着こなした少女の表情が、月の乏しい明かりに照らされて、不安気に見える。
アスファルトに座り込み、一度身体を震わせるのに、その前に立つ人影が小さく笑う。
深紅のメッシュを前髪に入れた、耳にかかる長さにまとめた黒髪は、まるで闇に溶け込むようだ。
切れ長の鋭いダークグレーの瞳は、近寄り難い雰囲気を醸し出している。
ブラックの革製ジャケットに、同色のタートルネック、そしてダメージジーンズをまとう青年が少女を見据えた。
すると、それまで向けていた栗色の瞳を咄嗟に逸らした少女に、青年が手を翳すのだ。
その内に、手の平から淡いピンクの光が発生して、少女の頭から、ピンクのハートがふわりと出てきた。
青年は、宙に浮く“それ”を、手の平を返し乗せるように浮かすと、しばし眺める。
煌めくハートはゆらゆら浮いて、幻想的な風景を作り出していたが、やがて見飽きたように握り潰してしまったのだ。
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