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特に理由は無かった。
たまたま気分が良くて、たまたま外に出たくなって、たまたまいつも通らない道を通りたくなっただけだった。
それがまさか、こんな事になるだなんて、どれだけ豊かな想像力を持ってしても予測することは不可能だろう。
これまた何となく見上げた木。そのてっぺんにダーツよろしく突き刺さった……人。
確かに人の形をしたものが、この辺で一番大きな木のてっぺんに突き刺さっている。
唖然としているとその人がもぞもぞと動き始めた。
やがて、器用にも木の上で起きあがると、その場で大きく伸びをした。
そして。
「キャッ!!」
その人(どうやら女性のようだ)はガサッという音を残して突然消えた。
要するに、落ちた。
これには流石に焦って、僕は急いで落下地点に走る。
だめだ、間に合わない!
その時、彼女の背中から純白の翼が生えた。
またしても唖然とする僕を後目に、彼女はゆっくりと下降し、そのまま無事に着地した。
これが、僕と天使の出会いだった。
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