1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
今年も、また会えないのかな?七夕なのに…。
高校の頃は、毎日学校で顔合わせていたから、寂しいなんて思わなかった。
けど、高校を卒業したら靖は専門学校、私は大学。
距離も近距離から遠距離になって、心も離れちゃったのかな?
会いたいよ、寂しいよ。靖が家を継ぐために頑張ってるの知ってるから、会いたいなんて言わない。
織り姫と彦星は、きっと会えるよね?寂しい思いしてないよね?
♪~~♪~♪~~~
電話?…誰かな??
「もしもし?杏?」
一番聞きたかった声が受話器越しに聞こえる。靖だ……。
「どうしたの?靖」
普段電話なんて書けてこない靖が電話を掛けて来たから、私はなにかあったのかな?と心配になった。靖は
「なんでもないよ?ただ、杏が寂しがってるんじゃないかと思って」
「寂しがってなんかないもん」
……ウソ。本当は、すっごく寂しかった。声が聞きたかった。
けど、邪魔しちゃいけないって思ったから、迷惑かけちゃいけないって思ったから、我慢してた。
「ウソだぁ。寂しかったでしょ?」
なんで、靖にはわかっちゃうのかな?私の精一杯の強がり。靖には、全部お見通し。
「寂しかった。話したかった。会いたいよぉ…」
私は、糸がプツっと切れたみたいに泣き始めた。
泣いちゃダメだと分かってても涙は止まらなかった。
「……靖?」
電話の向こうから、靖の声が聞こえなくなった。
嫌われちゃった……。
その時、ドアのチャイムが鳴った。
こんな時間に誰かな?私は涙を拭いて、ドアをあけた。ドアの前に立っていたのは
最初のコメントを投稿しよう!