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“賞品”というのが何なのか全く分からずに『ゴールデンボールブリッジ』に参加していたヒノトは、正直、戦いだけが目当てだった。
実力を確認し、経験値を稼ぐ。
ポケモンリーグに参加する気は微塵もなかったが、やはり育てたからには強くなっていてほしいのが人情だろう。
手持ちポケモンはたったの2匹。
コンパンとオニスズメ。
どちらも誕生日プレゼントのモンスターボールを使って、草むらで捕まえたポケモンで、これまでのバトルはこの2匹だけで乗り切ってきた。
「とりあえずボールに戻っててくれ、コンパン」
腕の中で大人しくヒノトを見上げるコンパンに、ボールの赤いレーザー光線を照射する。
たちまちコンパンは影も形もなくなり、ボールの中に収まった。
コンパンは体重約30kg、まだまだ若いヒノトでも苦しい重さなのだ。
そのためのモンスターボールだろう。
陸上に掛けられた全く存在意義の分からない金ピカの橋を渡り終えると、なるほど、ボーイスカウトが言ったとおり、1人の男が佇んでいた。
男はヒノトが近付いてくるのに気付くと、パチパチと拍手をしながら、
「おめでとう! よくクリアしたね」
と、慣れたような愛想笑いで祝福した。
見た感じは、街でよく見かけるような若者だ。
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