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「犯人は……、アンタだ」
切り立った崖に背を向ける女を指差した。
事も無げに、まるでテレビのリモコンでも向けるかのように。
「なんで被害者の描きかけの原稿に、濃厚なホモ描写を描き加えたんですか……?」
「天動説を主張する私は……、『地球×太陽』のカップリングが許せなかった」
波によって削られた崖の上を、強い潮風が吹き抜ける。
穏やかだった女の表情は、強い怒りに染まっていた。
「そうよ……。地球が攻めなんて有り得ない。地球は動かないのよ! 受け身なのよ! Sっ気のある太陽の嗜虐のプロミネンスで焼かれるべきなのよ!」
女はバッグからライターと殺虫スプレーを取り出すと、弓を引き絞るような構えを取る。
「右手にスプレー、左手にライター。荒れ狂いなさい! 奥義・プトレマイオス・ラヴ!」
スプレーより放たれた殺虫剤がライターの火を飲み込み、炎の蛇と化す。
「遅せえよ。コペルニクス・地獄突き!」
「はぐおっ!?」
炎から身を躱すと同時に、相手の懐に飛び込んで喉元に手刀を突き入れる。
ちなみにコペルニクスは関係ない。
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