虎牢関に英傑集う~疑問と策謀と~

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それからしばらく、こちらの知識の一部(とはいえ、俺の世界の戦国時代の歴史を語っただけだが。)を時間の許す限り分かりやすく伝える。華琳は非常に探求心、知識欲が強く、飲み込みも早いため、なかなか有意義で充実したひとときだった。 華琳「あら、そろそろ春蘭達が来る時間ね。」 不意に華琳が呟く。俺は「明日の戦に響く。」と、話を切り上げて与えられた寝床に就く。不安はやはり残るが、一刀が無事に生き残る事を祈っているうちに、まどろみに意識が沈むのだった・・・。 ~本郷軍側・簡易会議室~ 朱里「・・・という作戦になりますけど・・・。」 一刀「やっぱり、小十郎が心配だね・・・。」 哀染が華琳に知識を披露している最中、一刀と朱里は、二人で最終の打ち合わせをしていた。 ~曹操軍側・閨~ 華琳「二人とも、待たせたわね。」 閨に入ると、既に夏侯姉妹が先に入って華琳を待っていた。 華琳「さて、哀染の事だけど、二人の意見を聞かせて頂戴。」 春蘭「動きは素早いですが、それだけです。大した男ではありません。」 ??「その割には、あっさり負けた、と聞いたよ、夏侯惇殿?」 春蘭「なんだと!」 三人の密談に突然の横槍が入る。春蘭が振り向いた先には、ちょうど×の形になる仮面を着けた優男が立っていた。 秋蘭「お前は本国の守備を曹仁殿と共に任されたはずでは?満寵。」 満寵「その曹仁からの勅命だよ、夏侯淵殿。ところで曹操さま、これを。」 満寵はそう言って華琳に書簡を渡すと、すぐに立ち去ろうとする。 春蘭「もう戻るのか?」 満寵「うん、用件はこれで終わりだ。では失礼。」 ピシャリと言い切ると、彼は去って行った。 春蘭「全く、相変わらず無愛想なヤツだな。」 秋蘭「姉者、あれには自分の考えを読ませないという彼なりの工夫だ。」 春蘭「む、そうなのか?」 華琳「軍師たる者、策を読まれるのは屈辱だ。と、少し前に彼は言っていたわ。春蘭も、もう少し彼を見習えば、哀染に負けなかったかもしれないわね?」 満寵の態度に不満をもらす春蘭をからかって黙らせた華琳だが、彼女の顔は笑っておらず、むしろ満寵の書簡の一文を真剣に見つめていた。
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