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~呉軍・簡易会議室前~
兵士「ん・・・?」
一方、呉軍は孫権と周瑜により会議の最中であった。その会議室に、汗だくになりながら一人の少女が向かっていた。
??「すまない、孫権様と周瑜様はどちらだ?」
彼女は深紅の兵士服に白いスカートを纏っている。また、口調から武将のようだ。
兵士「はい、お二人はこの中で会ぎ―」??「わかった、入らせてもらう!」
よほど火急な事情なのか、兵士の言葉を最後まで聞かずに中へ入って行く。
兵士「お待ちください、凌統様!」
凌統「孫権様!周瑜様も!」
名前を呼ばれた二人は、この戦に連れて来ていない者の声に驚いた。彼女は、孫権の妹の尚香の補佐に残したのだから。
周瑜「何事だ、凌統?」
よく彼女を観察すると、非常に落ち着きが無く、群青の瞳は哀しみに満ちている。
凌統「そ、孫策様、孫策様が―」
凌統は、それ以上の事を喋らず、その場で泣き崩れてしまった。それはつまり―――
孫権「まさか・・・雪蓮お姉様が・・・死んだの・・・?」
凌統「・・・その・・・まさかです・・・。」
認めたくないという表情の二人に、凌統は喉から声を絞り出すように、しかし、しっかりと応えた。瞬間、孫権は突然気を失ってしまった。
周瑜「蓮華様!凌統、・・・雪蓮は・・・孫策は、なんと言って?」
倒れる孫権をなんとか支えると、周瑜は、孫策が最後に何か遺言を残してないか訊ねる。やはり声を絞り出しながら言う。
凌統「孫権様を・・・次の呉の王とし・・・、周瑜様は・・・それを補佐するように、と・・・。」
周瑜「わかった、ありがとう。すまないが、孫権様を休ませて来てくれ。部屋は、兵士に聞くと良い。」
凌統は力なく、無言で孫権をおぶさり会議室を出て行く。
周瑜(あぁ・・・雪蓮・・・。)
彼女らを見送ると、周瑜は一人、静かに涙を流していた・・・。
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