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とにかく、気を取り直して打ち合わせを続ける。俺は黙っているだけだが。
曹操「―以上よ。ところで片倉将軍、質問があるのだけれど、いいかしら?」
哀染「・・・構わない。」
曹操「貴方の真名は?」
・・・なんだと?真名を教えろ?
哀染「他人の将軍の真名など、知ってどうする?」
しごく当然の返事を返す。俺なら聞かないな。
曹操「あら、私に真名を知られるのが怖いの?シ水関であれだけの大口を叩いておいて。」
・・・聞いていたのか。そしてそれが要求と来れば・・・答えないといけないな。曹操の眼差しはまっすぐにこちらを射抜く。瞳は不動だ。
哀染「・・・教える前に一つ。関羽が欲しいのではないのか?」
これはささやかな抵抗。彼女ならば愛紗を指名するのが普通だし、俺が呼ばれた理由も全くわからん。
曹操「簡単よ。貴方は関羽と二人であの攻勢を耐え抜いたらしいじゃない?」
哀染「・・・そうだが?」
意図がわからない。それなら、華雄を結果として討ち取った愛紗を選ぶ筈だ。困惑する俺を尻目に続ける。
曹操「でも初めは一人であれだけの数を止めようとした。それは本当は無謀な、それこそ犬死に等しい行為だわ。」そこで一度言葉を切り、更に真剣な眼で話す。その鋭さに一瞬たじろいでしまった。
曹操「それでも、貴方はそれを進言したわ。それは本物の覚悟と勇気があって初めて出来る事よ。そして、その忠心を評価して貴方を選んだわ。」
・・・なるほど、ただの高慢なヤツとは違う、それこそ袁紹などよりも広く、かつ大きい器を持つ。これが曹操孟徳、乱世の奸雄か。
哀染「・・・。」
しばらくお互いに見つめあう。もちろん真剣な意味合いだ。
哀染「俺の真名についてだが・・・。」
曹操・夏侯惇・夏侯淵・旬イク「「「「・・・・・・。」」」」
外野の三人からの目線もより鋭くなる。特に夏侯惇、睨むな。
哀染「先ほどのフルネームで真名ごと教えたぞ?」
四人「「「「ふるねーむ?」」」」
あ、こいつら知らなくて当然か。やれやれ、一刀がいないから余計説明が難しいや。
哀染「・・・『フルネーム』とは、一刀や俺の世界の言葉で名字・名前を全てをさすって・・・あ。」
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