親友の『カノジョ』

休日の朝

女性は潤の耳元で

「お・き・て」

と優しい声で起こそうとする。

しかし、潤はぴくりともしない。

女性はこんな事で反応しないことは分かっていた。

イタズラな笑みを浮かべて

「朝よ。起きなさい。起きないなら…起きろー！」

先程とは一転して大声を出したかと思うと、寝ている潤に飛び乗るわで、さすがに潤も目を覚ました。

「…あっ、恵子。お早うのチュー」

潤はふざけて女性
『篠田恵子（しのだけいこ）』にキスをしようとした。

しかし、そんな潤の行動を恵子はエルボーで返す。

「いっ痛いなぁ。起こし方が少し過激すぎやしないか？」

潤は恵子の作ってくれた朝食を食べながらぼやく。

「折角、作ってあげたんだから文句言わないで食べなさい」

一緒に食事をしながら恵子は潤を黙らせる。

ここまで見ていると、潤の『彼女』であるかのような恵子が通い妻で朝食を作りに来ているようにしか見えない。

「ところで今日は何だっけ？」

まだ頭が寝ている潤は朝食を半分食べたところで聞いた。

「だから。電話でも言ったけど、今日は哲の試合があるから付いて来てって言ったでしょ！」

「あっ、そうか…哲の試合ね」

潤は朝食を食べ終わると早速、着替えた。