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「美紗、美紗、ほら、もうすぐ着くよ。」
いつの間にか眠っていたらしい、運転席の聖二さんに声をかけられて目を覚ます。
「ママ、ずーっとお眠りしてたよ。」
助手席のチャイルドシートに座る琴音(ことね)が頬を膨らませながら後部座席を覗き込む。
「はっは、琴音のやつ富士山のそばを通ってる時にいくら声をかけてもママが起きなかったもんだから、怒ってるんだよ。」
「富士山、ほんとにきれいだったんだよ。見ないともったいないくらい、きれいだったんだよ。」
自宅のある横浜から静岡県に入った所までは起きていたと思う。
富士山が見える場所からここまでとなると、3時間ほど眠っていたことになる。
「あたしそんなに眠っていたの?」
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