◆1◆ 古びた廃虚

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「なんかさ、あの街の外れにある廃虚最近『出る』らしいよ」 「まじっ!?てかあれじゃ出ない方がおかしいっしょ」 面白可笑しく怪談話をするクラスの女子達の会話が聞こえてきて、溜め息をもらした。 「はぁ」 正に今からその廃虚に向かおうとしている俺には、とてもじゃないが笑えない。 重い腰を動かし席を立ち、それ以上に重い足を動かし歩き始める。 「おー大輔、今日カラオケ行かね?」 友人の誘いに激しく行きたいとは思ったが、 「わりぃ……今日用事あんだわ」 と謝罪して断った。すると何人かの女子が、 「えぇ!大輔くん行かないのぉ!?行くのやめよっかなぁ」 「あたしもどうしよっかなー?」 などと言い始め、カラオケに行くと思われる男子達からの痛い視線を受けた。 特に仲の良い友人の純(じゅん)が側に来て、 「くそっ!ちょっと背が高くて顔がそこそこってだけでモテやがって」 と小さな声で涙ぐみながら言ってきた。 「そんなんじゃねぇよ」 と反論をし、恨めしそうな純の声と、女子達の言い分に苦笑いをしつつ教室を後にした。 そう……今日の俺にはやらなければいけない事があるのだ。 そんなこんなで意を決して廃虚に向かった。 これほどまでに気が重い放課後が、今まであっただろうか。
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