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どうやら彼の羽はしまうことが出来るらしい。
人に見られるとまずいからと、羽をしまった彼と俺は2ケツしてチャリで家まで帰った。
「いろいろ迷惑かけてほんとごめん」
とチャリをこぐぎながら謝る俺に、
後ろに乗っている、常に笑顔を絶やさない彼は、いつもの表情で、
「全然大丈夫だよ。初めてできた人間の友達の役に立てて、僕も嬉しいし!!」
と言ってくれた。
友達か…、と彼の言葉に顔を緩めるた俺は、
《ほんとにお人好しなヤツだよ…》
というジルの言葉を思い出した。
《確かにその通りだな》
「まぁ、こんなのも悪くないか」
そうそう誰でも出来る体験じゃないし、
どうにもならない現実なら、非現実な今を楽しむことにしよう。
この、新しくできた吸血鬼の友人と共に―――………。
まあ…命がけだから、楽しめるかは微妙だけど。
そんな俺達の帰り道を、夜の月が優しく照らしていた。
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